エホバの証人二世 ルデア の傷跡ブログ

新興宗教カルト宗教の二世が立ち直った方法

エホバの証人の子どもとして 5(恋愛 2)

中学校二年生になっても Y への恋心は続いていた。

孤食(後に仕方なく同級生とともに弁当を食べることになったが)した後、僕は昼休みにいつも図書室に行くことにしていた。図書委員を自ら率先して行い、図書室の鍵を自由に取得できる立場になることで、好きなときに図書室へ行けるようにした。他の人が図書委員の担当の時でも、僕は構わず自分から勝手に鍵を取りに行っていたが、先生たちや誰からも何も言われることはなかった。

なぜ図書室に行くようにしたのかというと、この世から離れるためというのと、本が好きだったというのが理由だ。もちろん、本の選択に関してはエホバの証人らしい本ばかり読むことに努力した(性的なものや思想、哲学書などは避けるようにしていたが、ファンタジー系の本を読み漁っていた)。

 

独りで図書室にいるのは心地よく、母親や恐怖の念しかなかった兄も、この世の同級生もいない、ただ一人の空間でそこには自由があった。

 

そして、その自由な空間に侵入してくる人がいた。Y とその友人である。

 

Y とその友人は当初は図書室には来ることはなかったが、僕が定期的に図書室にいることを知ってか知らずか、毎日のように来るようになった。

もちろんその時、僕の心は高鳴ったが、それでも平静を装うようにしていた。

 

今でも覚えている。普通、本を借りるときには通常では最初に相手のフルネームを聞いて図書カードを作るのだが、Y が初めて本を借りようとした時、僕は名前を聞かず、そらで名前を書いた。彼女の名前は 「Y みはる」と読むのだが、僕はミスをする。「みはる」の部分を「美晴」と書いてしまった。それを見た彼女は笑って「みはるの『はる』は春だよ」と訂正を促した。その笑顔がとても素敵に見えたけど、恥ずかしい思いでいっぱいだった。

彼女が来るたびに僕の心は「晴れた」から、無意識のうちに彼女の名前を「美晴」と思ってしまっていたのかもしれない。

 

そしてそれから中学校を卒業するまで、僕は図書室に通い続け、Y とその友人もほぼ毎日のように来てはくれるが、声をかけることはよほどのことがない限りなかった。エホバの戒律の方が僕の中で強かったのと、この世の人と同化する勇気がなかった。

 

余談だが、僕は学校のある日には必ず図書室に通っては本を借りていたので、学校で一番本を借りた生徒として全校生徒の前で表彰された。これはひどく恥ずかしかった。三番目に借りたのは Y の友人だった。Y は四番目くらいだったけど、表彰されることはなかった。

 

そして卒業の日、僕は Y に告白することは許されないことは知っていたので、軽い別れの言葉を告げるだけで精一杯だった。もし、僕がエホバの証人じゃなかったなら、間違いなく、結果はどうであれ告白して後悔しない道を選んだだろうが、恋愛に関してもエホバの戒律が邪魔をし、それが自分自身を偽る人間へと形成されていってしまった。